触れるという事

時により法に触れてしまう行為さえも職業を通じてならば許容される。

本来、【触れる】という行為は親しい間柄でなければ行わない行為だと思います。

僕らはリハビリテーションを行う中で、タッチング・ハンドリング・触診など“触れる”というツールを用いる場面が数多くあります。

改めてこの触れるという行為を考えてみたいと思います。

 

触れる


本来、この触れるという行為は

“個を干渉する” “個であることを脅かす”

と言われています。

。。。どういうことかと言うと、

生物は生体膜を持つことで外界と隔てられています。

その境界があることで外界からの侵入を防ぎ、【個】が成立しています。

その生体膜は人で言うと皮膚にあたります。

つまり、相手の皮膚に触れるということは、『個』と『個』の境界が接することですから、
『個たる境界』に干渉する、ともすれば、『個であること』を脅かす、とういことになります。

 

例えばですが。。。

時々、お酒が入るとやたら身体を触る方がいますが、、、自分はイヤです(笑)

しかし、逆に仲の良い人や家族に触れられると安らぎや安心感を感じることもあります。

自分の子供なんて、ずっと触っていたいくらいです。

つまり、この触れるという行為は自己と他者の関係の中で情動(怪・不快の両面)で大きな影響を受けたり、インパクトを与える行為と言えます。

だからこそ、仕事とは言えど触れるという事が他者に及ぼす影響を考慮し、スキルであれば磨くべきだと思います。

もちろん、触れる前に人間性だったり外見だったりオリエンテーションも必要なのですが。。。

 

※ちなみに、皮膚は脳と脊髄と同じ外胚葉由来なのです。だから触れることで中枢にアクセスが可能になるのです。

 

なぜ触れるのか?


では、僕らはこの触れるというツールを用いて何をしているのでしょうか?

大きく分けて2つの意味があると思います。

 

・必要な情報を与える

・必要な情報を受け取る(組織の状態や情報に対してどう反応するかなど)

 

 

触れることはコミュニケーションの一つと言われています。

コミュニケーションは一方向でなく双方向である必要があります。

送り手の意図のみで一方的に情報を与えても、受け手にしたらその情報に気づかなかったり、不必要な情報だったりもする場合があります。

情報を与えるときには、情報に付加価値が必要で、受け手の良い反応(理想の反応)を知らなければ情報の良し悪しは吟味できないと思います。

そこには仮説検証能力が必要になってくる。

仮説検証能力に関しては別記事で書こうと思います。

 

 

触れる時に気を付ける事


。。。触診(本当は神)は細部まで宿る

使い方が違うかもしれませんが、不安定な精神状態や不安定な姿勢だと身体に力が入りやすくなり、末梢である手先も硬くなってしまいます。

本来、情報を送受信する手掌はセンサーの役割を果たすべきですが、上記のような状態だとセンサーの感度が鈍ってしまいます。

手掌のセンサーで何を感じ取るのでしょうか?

具体的には音(骨の軋む音や癒着の剥がれる音)、アライメントやトーンの関係、重心の位置や床反力、関節の適合状態、患者さんの情動面など目に見えない部分を感じる事が出来るのが手掌のセンサーだと思います。

 

そのため、自分なりに触る際には気をつけることとして

・良い精神状態・姿勢で触る

・ニュートラルで触る

・イメージして触る

言語化するとこのような感じです。

 

触診してても、その日の調子(?)によって触れている感覚が異なる場合があります。

集中力だったり、前日寝不足の影響だったり、などにより触診の感度は精神状態に左右されます。

また、評価する場合は雑念(この筋が硬いんだろうなとかここの関節の動きが悪いんだろうな)や先入観があると、触診の感度を邪魔をします。

こんな時は、ニュートラルな気持ちを持って、あるがままを受け入れる構えでいることが大切です。

また、狙った組織を触るには解剖学をイメージします。

ダイレクトに筋肉や骨は触ることはできないため、皮膚を介して触れるため皮膚の下にある組織をイメージする必要があります。

筋の層、筋の走行、筋膜など触りたい組織がどの様な位置関係にあり、解剖の教科書をにらめっこしながらイメージできる様に訓練します。

 

触り方


人の手の重みは約1kgあります。

自分の姿勢が崩れていると、患者さんとの接触負荷が増えてしまいます。

なので、自分の中心軸を意識した姿勢を取れるようにしなければなりません。

セラピスト自身も鍛錬が必要なのです。

 

また、手掌のセンサーを最大限に活かすために肩甲骨や脊柱を使うようにすることです。

組織の深部を触診するときには、やはり圧をかけていく必要があります。

その際に、指の力で圧をかけると指が硬くなり、センサーが鈍くなります。

圧をかける時は、肩甲骨をリトラクションしたり、体幹を回旋させることで指先に過剰に力が入らないように組織に圧が加えることができます。

 

さらに、部位や介助によって異なると思いますが、トータルコンタクトも大切です。

学生の頃に虫様筋握りを習ったと思います。

これです↓

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まとめ


なんて、つらつら偉そうに書きましたが自分もまだまだです。

特に筋膜は正直わかる様でわかりません(笑)

ただ、触診というツールを用いて患者さんの身体を操作したり、情報を与えたり受け取ったりとスゴイ武器になります。

いくら知識があっても、触れる技術がなければ治療は難しいと思います。

今回は、今一度触れることについて書きたくなったので書いてみました。

しかし、もっともっともっととてつもなく繊細で深いものです。

また別の機会で仮説検証作業を含めて、実例を用いながら行って見たいと思います。

今回はこの辺で

 

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