訪問の現場(特に施設)などで食事場面に出くわすことが、度々あります。
当然のことですが、どの利用者さんにも同じ椅子で同じテーブルの高さで食べることが多いです。
きっとそこまで嚥下機能が悪い人は少ないと思いますが、中には不良姿勢のまま食べている方もみられます。
しっかり食事環境をセッティングすることができれば、誤嚥や不良姿勢の予防や改善が出来るのではないでしょうか?
今回は、前回からの続きで車椅子のシーティング&フィッティングについて考えていきたいと思います。
車椅子のフィッティング
車⇒移動機能
椅子⇒座位保持機能
フィッティング⇒①身体・心理的②環境的③目的的④経済的・社会的
最高級のタイヤで最高級の素材で最高級の乗り心地で・・・が良い訳ではありません。
フィッティングとは適合という意味で、誰が・どこで・何のために使用するかを考えなければなりません。
適切な座位姿勢
シーティングとは、目的を達成するための座位姿勢を作ることです。
しかし、座位姿勢に唯一最適なものは存在しません。
自分たちに置き換えても、授業を受けていたり、食事をしたりしている時にも耐えず姿勢を変えていると思います。
しかし高齢者になると、身体機能の変化に伴い姿勢のバリエーションが少なくなってきます。
言い換えれば、同一姿勢でいることが増えていくということです。
つまり
唯一無二といった姿勢が存在するわけではなく、目的や環境に応じて様々な姿勢を取れるという事が大切なのです。
さらに、姿勢というのは、24時間の中での時間配分によってアライメントや身体の状態を作っていきます。
座位姿勢が崩れているから、座位だけシーティングをすればいいわけではありません。
なぜ座位が崩れているのか、臥位の姿勢から問題が生じていたり、支援者の関わり方が問題であることもあります。
拘縮などの機能低下や痛みの出現など廃用症候群に繋がる恐れもあります。
上記のように幅広い視点でシーティングを行っていく必要があります。
良い姿勢の条件
良い座位姿勢のイメージはとはこんな感じでしょうか?
確かに背筋もピッと伸びていて、坐骨に重心が乗っているし、足底もついています。
面接などの場では良いと思いますが、トイレ場面や漫画を読んんでいると考えると少し違うのかなとも感じます。
良い姿勢の条件
- 安定
- リラックス
- 呼吸
- 易体動性
- 咀嚼嚥下
今までのブログでも姿勢が呼吸や嚥下に及ぼす影響を述べてきました。
この条件を満たすことが良い姿勢に繋がるのではないでしょうか?
姿勢の評価
〜現状の評価〜
身体機能評価として、まずは臥位の評価から行うべきだと思います。
ベッド上臥位の姿勢によってある程度シーティングの要素が付きます
評価項目として姿勢アライメント(3次元的)・筋緊張・関節可動域(股・膝関節)・呼吸状態を確認します。
また車椅子であれば、座面からバックラインにかけて隙間がどの程度あるか確認します。
最終的には定期的にモニタリングをしていく必要があります。
筋緊張は情動によって変化もするだろうし、環境によっても左右されます。
なので一度で全てが決定づけられることではないので忘れずに
円背・仙骨座りについて
高齢者になるとよく見られてくる姿勢ですね。
この姿勢を取ることで様々な現象が生じてきます。
『仙骨座りの弊害』
胸腔の必要以上の圧迫 ・腹腔の必要以上の圧迫・脊柱の必要以上の屈曲変形・全身的に筋緊張の亢進 ・呼吸の浅薄化 ・尾骨部褥瘡 ・脊柱棘突起に傷ができる ・内臓運動抑制~便秘悪化 ・嘔吐 ・上肢機能の抑制 ・嚥下機能の抑制 ・体動の抑制 ・食欲の低下 ・食事摂取機能の抑制・好褥化(臥床したがる) ・全身的な廃用性症候群
『仙骨座りの原因』
①車椅子の座面サイズが大きすぎる②フットサポート高の設定③スリングシートのまま座らせる④車椅子の座面からバックサポートの形状の不適合⑤股関節の伸展拘縮⑥膝関節の屈曲拘縮⑦座位保持能力とバックサポートの高さ・形状の不適合
引用
前後・左右・回旋と3次元的に姿勢が崩れる場合もあります。
その際に頭ごなしにクッションやポジショニング枕という発想は良くないと考えます。
外見だけ良くても質が伴わなければ良い座位とは言えません。
まずは機能的に改善ができるものであれば、アプローチしていく必要があると思います。
加えて環境面の影響を考えていけば、可能な限り修正をしていくのが良いと思います。
ここで大切なのは、身体拘束にならないことだと思います。
判断は難しいですが、必要以上のシーティングやポジショニングは、さらなる廃用症候群を与えるきっかけになり得るので念頭に置いといてください。
2に続く、、、