シーティングとは?
動作を遂行するには、姿勢を保持し続けることは必須条件である。
シーティングとは座ることが目的ではなく、座位を通じて何かしらの目的を遂行するために座ることである。
何かしらの目的とは。。。
- 休憩の為
- 食事をする為
- テレビを見る為
- 手紙を書く為
- デイでレクリエーションを楽しむ為
など
そして目的によってシーティングで必要な要素は異なってくる。
左右対称が良いのではなく、目的や環境に合わせて座位を取るのである。
目的が、リラクゼーションなのか上肢の操作性なのかアクティブな活動なのかによって座位の姿勢も変わってくるのである。
今回は、食事の為の座位(シーティング)を考えてみようと思う。
食べる為に必要な要素
- 安定した座位姿勢(支持基底面の中に重心が落ちている事)
- 30分以上の保持時間
- 咀嚼や嚥下を阻害しない頸部周囲の筋緊張
- 上肢の操作性
この辺りでしょうか?
また、高齢者は円背になりやすく、姿勢のバリエーションが少なく、嚥下に不利な姿勢になります。
良い座位姿勢の条件
- 安定
- リラクゼーション
- 安楽な呼吸
- 易体動性
- 咀嚼嚥下
引用 高齢者のための車椅子フィッティングマニュアル
円背が嚥下に不利な理由
摂食と言う行為を考えると、頭頚部や目線は食事を認識するために優先されると思われる。
円背の状態で、上記を満たす場合は頭頚部は伸展位にならざるを得ない。
また、円背の方が座位を取る時には、胸椎の一番突出した部分で身体を支えている。
そのため、安定した支持面を得るために接地面積を増やそうとして、四肢・体幹の緊張を上げ
てより固定性を増やそうとする。
結果として、頸部の筋緊張は高まり嚥下反射が出にくい状態になり、頚部は伸展方向、上下肢体幹は屈曲方向への力が強くなってくる。
つまり、円背は嚥下に対しては非常に不利な姿勢になってくる。
そのためにシーティングが必要になってくるのである。
特に頸部のポジショニングが重要になってくると思います。
頭頚部のポジショニング
摂食・嚥下の際に、頸部を屈曲するということは学校で習った記憶があります。
咽頭部の解剖学的な位置関係を見れば、頭頚部のアライメントが嚥下に大きな影響を及ぼすことが容易に想像できると思います。
頭部屈曲
解剖:環椎後頭関節+環軸関節
全可動域:15度
特徴:舌根が咽頭後壁へ近づき、咽頭腔狭めるため咽頭内圧が高まり嚥下圧も高まる。結果として咽頭残留を減じ、嚥下後誤嚥を防ぐ効果が生じる。舌根部や咽頭の動きが低下している場合は有効
頸部屈曲
解剖:C3-C7
全可動域:30度
特徴:前頸部の筋緊張を和らげ、喉頭蓋谷が拡がり食塊と粘膜の接触面積が大きくなるので嚥下反射が起こりやすい。結果として嚥下前誤嚥を防ぐ効果が生じる。
複合屈曲
喉頭挙上を妨げるため、飲み込みが行いにくくなる
頸部前屈突出位
リクライニングで摂食する場合に有効。咽頭腔が拡がり、梨状窩も広がる。また、舌にて食塊を移送できなくても重力を利用することができる。
まとめ
シーティングの際、目的を明確にする事とそれに対して求められる要素を考えて作っていく。
教科書的なものをベースに、クライエントの思いや機能など個別性を把握していく事が大切。
中でも摂食・嚥下の際には姿勢が大きく関与し、それに伴い頭頚部の筋緊張も変化しうる。
解剖的な要素も考えて、嚥下機能に合わせた頭頚部のポジションを考えていく。