呼吸をしてみてください。。。言わずもがなしていると思います。
それでは姿勢を変えて呼吸をしてみてください。
- 身体をまっすぐに伸ばした姿勢での呼吸
- 身体を丸めた姿勢での呼吸
どちらが呼吸しやすいでしょうか?
姿勢と呼吸について考えていきたいと思います。
姿勢と呼吸の関係
上記の答えは、良い姿勢だと呼吸がしやすいと思います。
それは何故でしょう?
ズバリ
横隔膜
が関与しています。
横隔膜は、呼吸をする時と姿勢を保持する時の両方で働いています。
・姿勢保持筋:腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群
・呼吸筋(安静時):横隔膜・外肋間筋
不良姿勢になると横隔膜は働きにくく、呼吸も浅くなってしまう。
呼吸が浅くなると、姿勢を保持する横隔膜が働きにくくなり不良姿勢になる。
胸郭と横隔膜の解剖
胸郭=胸椎(12椎)+肋骨(12対)+胸骨(+鎖骨)
横隔膜
![IMG_2652.jpg](https://mohikankozou.wordpress.com/wp-content/uploads/2017/05/img_26521.jpg?w=499&h=649)
【起始】
・胸骨部:剣状突起に付着
・肋骨部:第7~第12肋骨・肋軟骨の内側に付着
・腰椎部:腰椎1番〜腰椎4番にかけて内側脚及び前縦靱帯に付着
【停止】
・腱中心
【作用】
・下位肋骨を拡張
呼吸時の胸郭と横隔膜の動き
胸郭
呼吸によって胸椎を軸にして肋骨が上下前後左右に動きます。
上位肋骨と下位肋骨は運動軸が違うため、以下のような異なる動きをします。
- 上位肋骨:ポンプハンドル運動
- 下位肋骨:バケツハンドル運動
横隔膜
呼吸方法は胸式呼吸と腹式呼吸に大別されます。
そのどちらでも横隔膜は使用され、吸気時に作用します。
呼気 吸気
横隔膜が吸気時に収縮することによって以下の事が起こります。
- 胸腔が拡大(陰圧になり空気が流れ込む)
- 下位肋骨が拡張する
ポンプハンドル?バケツハンドル?
少し理解を深めるために上位肋骨と下位肋骨の運動軸の違いについて解説します。
肋骨の動きは胸椎を軸にして動かします。
第2肋骨と第8肋骨を残した画像です。
肋骨と胸椎の関節面の違いが見てなんとなくわかると思います。
上部肋骨は関節面(運動軸)が横方向に近く、下部肋骨は縦方向に近くなります。
つまり
上位胸椎は胸椎を軸に前上方へ動いていき、前後に膨らみます。
下位胸椎は胸椎を軸に側上方へ動いていき、左右へ膨らみます。
これがポンプハンドルとバケツハンドルの違いを生み出します。(分かりにくですが。。。)
ポンプハンドルやバケツハンドルというと理解しにくいですが、動き方は同じで動きの軸が異なるため前額面からそのように見えるということです。
もう一点大きな違いがあります。
上位胸椎の動きは前後に広がるので、胸骨の挙上の動きが加わるということです。
胸骨は肋骨や鎖骨と連結しているので、それらの影響を受けやすいと言えます。
呼吸を介助するには3次元的に動きをイメージする必要があります。
円背すると・・・?
それでは円背になることで、呼吸にどのような影響を及ぼすのでしょうか
円背に伴い
1.胸郭が拡張しにくい状態
2.横隔膜が働きにくいアライメント
になります。
1について
上記でも述べましたが、肋骨の動きは胸椎を軸にして動いています。
上位肋骨の運動方向としては前上方へ動くため、肋骨が下方へ回旋する事は逆の動きになってしまうため運動を阻害してしまいます。
2について
横隔膜が平坦化することにより、収縮がしにくい状態になります。
横隔膜が収縮しにくくなることで、下位肋骨の拡張を妨げ、胸腔のスペースが作りにくい。
上記の理由のため、呼吸機能に影響を及ぼしていきます。
まとめ
臨床上、脊椎の中でも胸椎は非常に制限を受けやすいと感じる。
理由として、肋骨・胸骨(・肩甲骨)と関節を有しているため影響を受けやすいと考える。
胸骨は全ての肋骨と関節するため、どこか一箇所でも制限があると上部肋骨は動かなくなってしまいます。
これが呼吸機能や姿勢維持、上肢機能など多くの部位に影響を及ぼします。
胸郭や横隔膜などの筋群に対してアプローチできることは高齢者と関わるものであれば必須な技術と思われる。