【食べ物を認識し、口腔に取り込むまでの行動】
食べ物を認識するのは脳!
僕たちが目の前に出されたものを食べ物か否かだと判断するには大脳皮質が大きく関わってくる。
これを食物認知と呼ぶ。
目の前のものが食べ物なのか異物なのか、腐ってないかを嗅覚・味覚(酸味や苦味)・視覚で判断
過去の記憶と照らし合わせてどんな味か硬さか温度か匂いとかを連想
唾液が分泌され、胃液が分泌され、どんな順番で食べようかどの道具を使おうかなど計画
そこではじめて運動として摂食行動が開始、実行
上記のプロセスが起こるためには、低次脳機能が整っていることが条件です。
低次脳機能とはなんでしょうか?
脳内の情報処理
上記の図のように脳全体に縦横無尽に神経線維が各脳領域と繋がっています。
食べるという行為も脳全体の働きが大切になってくるが、前提として覚醒含めた低次脳機能(医学用語ではない)が働いている必要があります。
低次脳機能、つまりは高次脳機能よりもっと基本的な身体機能として、①呼吸・循環、②感覚・覚醒、③運動・姿勢、④摂食・嚥下、の4つの階層が考えられる。
リハビリテーションには順番があります。階層の低いもの、基本的な生命維持活動により近いものから順番に、整えていくことが、間違いのないリハビリテーションを行う大原則なのです。
高次脳機能障害を育てる 著 橋本圭二 神経ピラミッドの図
神経ピラミッドの図
つまり、摂食・嚥下を行う前に呼吸・循環・覚醒・姿勢等が整っている必要があるのです。
特に摂食中枢は視床下部外側野にあり、摂食行動や飲水行動、性行動、睡眠などの本能行動の中枢、および怒りや不安などの情動行動の中枢でもあります。
実際の臨床場面
- 食事に集中できない
- 食事がなかなか進まない
- 食事をよく残す
- 口を開けてくれない
などが観察されます。
このような場面を見て、食欲がない、苦手なものが入っていた、など安易に考えてしまいがちです。
しかし、先行期に問題がある可能性があるのです。
ここを見逃してしまうと、嚥下反射が弱かったりタイミングがずれたり誤嚥のリスクが増悪します。
それではどのように対応していけばよいのでしょうか?
例えばシーティングでもしっかりたべものが視覚で認識できる高さを作ったり、抗重力活動を作ることで覚醒レベルが改善したりもする。
その他に五感を利用食事に注意が向きやすい環境設定や食事を連想させるような環境を提供したり(何かを炒める音や食器を並べる音など)、誰と食卓を囲むのかも大切になってくる。
まとめ
摂食嚥下の初期段階。
この時期を見逃してしまうと、その後の嚥下にも大きく影響を及ぼしてしまいます。
どうしても誤嚥となると食事場面や食事内容に目が行きがちです。
しかし、食物を正しく認知できずエラーを起こしてしまうことで正確なプランニングや遂行ができない可能性もあるのです。
そしてそれを認識するために低次脳機能がしっかり整っているかを評価する必要があります。
ここは理学療法士でも十分に対応出来るので確認していこう。